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2010年5月11日 [ゲーム・グラフィック私塾]

今日は、グラフィック私塾「ユニットシートの作り方(3)」です。前回の最後で予告しました通り、背景色を塗り分ける場合の注意点や、文字色と背景色との関係(白抜き文字の効果的な使い方)、文字に影(ドロップシャドウ)をつける際の効果などについて、ご説明します。

Zitadelle_counters_sample.jpg

まずは「背景色の塗り分け」について。最近のシックス・アングルズ製品では、ユニットの地色を上と下の2色に塗り分けている場合が多いです(上は『ツィタデレ: クルスクの決戦』のユニット)。これには、3つの理由があり、1つは「車輌ユニット」と「徒歩ユニット」の機能的分類を明示するための処理です。2つ目の理由は、下の地色を薄くすることで、戦闘力や移動力などの(黒や赤で印刷された)数値を、より見やすくすること。そして、地図上に並んだユニットを一目見るだけで、そのユニットの「向き」を(ほとんど無意識的に)把握できるようにするというのが、3つ目の理由です。ユニットの向きを一瞬で判断できれば、必要な情報を読み取るという「脳の次のステップ」に進むのがスムーズになります(QRコードの三つの隅にある■=ファインダパターンの効果に近い)。

徒歩ユニットの場合は、『モスクワ攻防戦』や『ベアズ・クロウ』では、地色と同じ処理にしていますが、『激闘ノルマンディ』や『ウエストウォール』では、下半分を、上よりも薄い色に処理しています。いずれの場合も、文字の色は基本的に黒なので、地色は薄ければ薄いほど、判別はしやすくなります。

「わさわざそんなことをしなくても、赤やグレーの上に黒文字なら、判別できるのでは?」と思われる方も多いかと思います。確かにその通りで、『モスクワ攻防戦』や『ベアズ・クロウ』の徒歩ユニットに関して、数値が読みづらいという苦情が出たことは一度もありません。では、なぜこのような処理にしているかというと、こうすればプレイヤーに対する「負担」を軽くできるのでは、という「実地試験」の側面もあります。

bearsclawunits.jpg

1回のゲームプレイで、例えば5時間から8時間、地図上のユニットを睨み続けるような場合、個々のユニットから必要な数値を読み取る、という単純作業は、ひとつひとつは比較的簡単にできても、それを何時間も繰り返すことで、視神経や脳の疲労は少しずつ蓄積していきます。なので、その「ひとつひとつの作業」における負担を、効果を確認できないほどわずかでも軽減できれば、プレイが後半に差しかかった時の疲労(プレイへの集中力の低下)も、多少は和らげることができるのではないか、と思うわけです。

私塾0511例1.jpg

上は『激闘ノルマンディ』のドイツ軍歩兵連隊ユニット。左側が製品版、右側が「下半分も同じ色」にしたバージョンです。PCの画面で見ると、どちらも充分に見やすいように思えますが、目の焦点を緩めたり(ぼかした状態で見たり)、画面から少し離れて見たりすると、どちらがより「負担なく数字を判別できるか」を、確かめていただけると思います。当然、「負担なく数字を判別できる」ユニットの方が、そうでないユニットよりも、機能面で優れていることになります。

私塾0511例2.jpg

上は、同じユニットで、色分けの境界線を短いグラデーションにしたもの(製品版)と、境界をクッキリさせた形で色分けしたもの。これは、どちらが良いかはなかなか判定しづらいものがありますが、私は左の方が、目への負担が少ないような気がしているので、現在のような処理方法を使っています。車輌ユニットの場合は、コントラストがもっと強烈なので、境界がクッキリし過ぎていると、目への負担がさらに増加します。

私塾0511例3.jpg

文字の白抜き」について。上は、地色を一色にして、戦闘力と移動力の数値を白抜きにした場合。左はそのままですが、右は白文字の周囲に、地色を少しだけ濃くした色を、フチとして彩色しています。この手法は『スターリングラード攻略』の裏面でも使いましたが、ただ白抜きにするよりも、判別性が高まるような気がします(目の焦点を緩めたり、画面から少し離れて見たりして、見比べてみてください)。

私塾0511例4.jpg

続いて「地色の濃さと文字色の関係」について。上は、地色の濃さを変えてみたもの。左は、C45・M20・Y30、右は、C60・M35・Y45です。文字色に黒を使う場合は、黒(K)はゼロにした方が、読みやすさが向上します。右側は、画面上では文字を読み取れますが、これはPCのモニタが「背面に光源がある」状態だからで、もしこれを印刷した製品にすると、たぶん右側のユニットは、かなり数値を読み取りづらいものに仕上がると思います(じっくり目を凝らせば読めると思いますが、「目を凝らす」ではなく「軽く見ただけで目に入ってくる」のが理想です)。

印刷物の場合は、自然光や電灯の明かりを反射して、印刷されたインクの顔料が我々の目に入ってくる形なので、モニタ上よりも少し暗めに仕上がると考えた方が安全です。もっとも、地色を濃くした上で、全ての文字やシンボルを白や薄い黄色で印刷すれば、充分に実用的な配色のユニットになります。

私塾0511例5.jpg

最後に「文字に影(シャドウ)をつける場合の効果」について。上は、白抜き文字にドロップシャドウをつけてみたもの。ゲーマーズの製品などは、左の例のような黒ベタ(K100)のシャドウを使う場合が多いようですが、「シャドウ=黒」という固定観念に縛られる必要はなく、例えば右の例のように、地色を少し濃くした色のシャドウにすれば、どぎつい(コントラストの強い)印象にならず、ソフトな処理になります。

一般的に、ゲームのグラフィックの善し悪しというのは、一人一人のプレイヤーの好みに依存する部分が大きく、なかなか定量的に判定するのは難しい問題です。ただ、好き嫌いの問題は別として、「プレイヤーの目と脳にやさしいグラフィック」というのは、ある程度は合理的・客観的な視点から判断できる要素なので、ご自分でゲームをデザインされる時などは、そういった点にも留意されてはいかがでしょうか。

次回は、ゲーム・グラフィックにおけるフォント(書体)の選び方や文字の大きさについて、私なりの考えをご説明します。
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コメント 2

虹鱒

目にやさしいグラフィック・・・そういう評価法もあるのですね。白フチの周囲の色を濃くするやり方は、効果的だと思いました。
by 虹鱒 (2010-05-13 22:14) 

Mas-Yamazaki

虹鱒さま: コメントありがとうございます。「ゲーム・グラフィック私塾」で書いている内容は、あくまで「私の流儀」ということであり、これだけが正解というわけではないので、皆さんがご自分の「流儀」を見つけられる上での参考にしていただければ幸いです。
by Mas-Yamazaki (2010-05-16 00:00) 

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