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2010年6月1日 [ゲーム・グラフィック私塾]

原稿執筆の仕事が一段落したので、今週は『ウエストウォール』の制作作業に戻ります。そのウォーミングアップというわけでもないですが、今日は先日の記事のコメント欄でリクエストのあった、「戦況図をゲームマップに移し変える方法」について、少しご説明します。

最近は、新作ゲームをデザインする時、スキャンした戦況図をグラフィックソフトで開いて、ヘクスシートとは別のレイヤーに配置した上で、いろいろと調整しながら、マップの原型を作ることが多いです。しかし、私がゲームデザインを始めた頃は、まだパソコンというものを所有していなかったこともあり、非常に素朴な方法で、戦況図をゲームマップに移し変えていました。

polandmap01.jpg

上は、拙著『ポーランド電撃戦』に収録した、1939年のポーランド回廊の戦いを描いた戦況図ですが、例えばこれを、グラフィックソフトなど一切使わずに、A4サイズのゲームマップに変換するには、どうすればよいか。以下は、私が昔使っていた手法ですが、一案として参考にしていただければ幸いです。

polandmap01s.jpg

まず、対象となる戦況図をコピーし、そこに赤ペンなどで、グリッド(罫線)を引きます。線の数は、だいたい「長い方の辺に対して、10本から15本」くらいが適当かと思います。縦と横に、それぞれ網目のようにして線を引き、領域を区切った上で、各領域の識別記号となる番号とアルファベットを、順番に打ちます。上の例ですと、「ビドゴシュチ」の都市は、「G6」の領域となります。

polandmap02s.jpg

次に、ゲームマップのベースとなるヘクスシートのコピーにも、それと同じ数だけ、線を引きます。縦横の比率は、この時に調節して、ゲームマップに収録するエリアを決定します。

polandmap03s.jpg

識別記号ごとの領域を確認しながら、都市と町を、ヘクスシートに移し変えます。同じ識別記号のある領域にある地形を、ヘクスシートの対応する記号のある領域に描くわけです。都市と町が、各領域内の、どのあたり(右上、左下、中央、など)に位置するかにも注意します。

polandmap04s.jpg

続いて、識別記号ごとの領域に合わせて、小川と大河を、ヘクスシートに描きます。都市と河を描く順番は、逆になる場合もあります。要は、都市や町と、小川や大河のバランス、そしてゲーム化した場合の効果(例えば、領域の境界線附近にある都市を、川の左岸に置きたい場合)などを考慮して、どのように各地形を置くかを決定します。なんとなく、戦況図に近い(違和感のない)位置関係になれば、成功です。

polandmap05s.jpg


polandmap01.jpg

都市や町、小川や大河との位置関係を考えながら、残りの地形(森、鉄道、国境など)を描きます。作業の説明ということで、ざっくりとした感じで作りましたが、この方法ならパソコンを一切使わずに、戦況図をかなり正確に、ゲームマップへと移し変えることができます。そして、このプロトタイプをもとにプレイテストを開始して、必要ならば地形の位置や有無を修正します。

上記の方法による「ゲームマップづくり」を、より手軽に行えるよう、各サイズごとのヘクスシートのデータを、PDF版で無料配布します。大きいサイズのマップをプリントアウトされる時は、印刷の設定に注意して、接合部で欠落の生じないようにしてください。

《PDF形式のヘクスシート》 
※ロンググレイン
 A1判(フルサイズ)
 A2判(ハーフサイズ)
 A3判
 A4判

※ショートグレイン
 A1判(フルサイズ)
 A2判(ハーフサイズ)
 A3判
 A4判


あと、下のリンクはフルサイズのマップをA4サイズに縮小(35パーセント)した「ブランク・ヘクスパッド」です。フルサイズのゲームを作る場合、実寸のコピーだと作業がしにくい上、紙ももったいないので、この縮小マップ上でグリッドを引いたり、マップのスケッチ(素描)をされると便利です。こちらもPDF形式で、ロングとショートの2種類あります。

hexpadlong.jpg


hexpadshort.jpg


《PDF形式の縮小ヘクスパッド》 
 ロンググレイン
 ショートグレイン
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コメント 6

Tsuno

ゲームマップのつくり方を、ていねいに教えていただいたことに、深く感謝します。こんな風にして、位置関係の正確なゲームマップができるのですね。まさに、コロンブスの卵(^^  これを機に、PDFでアップされたヘクスデータをプリントアウトして、さっそくゲームデザインにチャレンジしてみます。
by Tsuno (2010-06-03 03:05) 

頭文字D

ヘクスシートデータのPDF配布、感謝感謝です!
by 頭文字D (2010-06-04 01:37) 

NO NAME

グリッド入れて書き写すのは20〜30年くらい前にはみんなやってた手法のような…
たしかタクテクスかウォーゲームハンドブックに載ってませんでしたっけ?
by NO NAME (2010-06-05 21:54) 

Mas-Yamazaki

Tsunoさま、頭文字Dさま、NO NAMEさま: コメントありがとうございます。ヘクスシートのデータは、いろいろな用途に活用していただければ幸いです。ちなみに、あとで気づいたのですが、PDFだとフォトショップで開いてそのまま「ヘクスレイヤー」として使用できるので、イラストレータは持っていないけれどフォトショップはある、という方は、ぜひこちらをご利用ください。

あと、グリッドを描いてゲームマップを作るやり方についてですが、私はいつ、どのようにして、この方法を使い始めたのか、あまりにも昔のことなので、記憶が定かではありません。何かで読んだという可能性もありますが、ダニガンの『ウォーゲーム・ハンドブック』を確認しましたところ、地図にヘクスシートを直接かぶせて、トレース台(ライトテーブル)で透かして地形を写し取るという方式が紹介されていて、これではないようです。

いずれにせよ、記事の主旨は「どのようにしてゲームマップを作るか」という方法論の紹介ですので、ひとつの方式として、参考にしていただければ幸いです。
by Mas-Yamazaki (2010-06-07 23:29) 

yg

グラフィック私塾の記事とサンプルのおかげで初めてまともにユニットを作成する事が出来ました。特にユニット等のサンプルが大変役に立ちサンプルをいじりながらイラストレーターの扱いを覚えられた事が良かったです。次回の時には是非地形の描き方(森、川先端)等の手順を教えていただければと思っています。そのときにはサンプルもあればよろしくお願いします。
by yg (2010-06-24 14:39) 

Mas-Yamazaki

ygさま: コメントありがとうございます。お役に立てて嬉しく思います。

マップの地形の描き方については、近いうちにご紹介したいと思います。その時には、素材として使える森や湿地などのパターンも、サンプルとして用意しますので、ぜひ楽しみにしていてください。
by Mas-Yamazaki (2010-06-27 00:22) 

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