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2012年3月14日 [その他(戦史研究関係)]

今週は、学研さんの『歴史群像』誌次号用記事「シリア紛争史」の執筆をメインに仕事を進めています。ご存知のとおり、シリアでは現在、バッシャール・アサド大統領を指導者とするシリア政府軍が、反政府勢力を各地で弾圧しており、ホムスなど反政府派の支持者が多い都市では、政府軍ないしバッシャール派の民兵による一般市民(多くの子供を含む)の虐殺が行われていると見られています。

今回の記事では、第二次世界大戦後に独立したシリアが歩んだ道のりと、第四次中東戦争におけるゴラン高原の戦いなどを扱いますが、それと共にバッシャールとその父ハーフェズのアサド親子についても、どんな人物なのか解説する予定です。また、ロシアと中国がなぜ今でもシリア政府側を支援するのか、シリアにおける反政府運動は、いつ、どのようにして生まれたのか、今後どんな展開になると考えられるのか等、日々のニュースを読み解く助けになるような情報も、可能な限りたくさん盛り込みたいと考えています。

ところで、今月は私の担当した記事や地図が掲載されている雑誌が2冊、発売となりました。

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一冊目は、『歴史群像』の4月号で、私の担当記事は「キューバ危機」です。今からちょうど50年前の1962年に発生した、人類が最も第三次世界大戦あるいは全面核戦争の瀬戸際に立たされた出来事として知られる緊張の高まりを、冷戦終結後に明らかになった文献情報等を活用して解説しています。

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また、記事の最後では英語における「GAME」という言葉の用法に触れ、利害衝突における双方の当事者が、内容の根幹部分で共通するルールを見ているか、それとも一致しないルールに基づいて行動しているかによって、外交という「ゲーム」は容易に戦争という別の「ゲーム」へと転化してしまうという点にも言及しています。

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この「英語におけるGAMEという言葉の用法」について、私が初めて知ったのは、古参ゲーマーならご存知かと思いますが、ホビージャパンのシミュレーション・ゲーム雑誌『タクテクス』誌第5号(1982年)で、斉藤純編集長が書かれていた「巻頭言」でした。当時、私は中学生でしたが、同誌(それも隔月刊時代の初期、1号から12号あたり)の内容は今でもけっこう頭にくっきり残っていたりします。

ちなみに、この号の巻頭記事は瀬戸利春さんの「ソ連赤軍の誕生」で、第一次世界大戦末期のロシア革命から、1930年代後半の「大粛清」に至るまでの、新生国家・ソ連における「赤軍」の位置づけがよくわかる内容になっています。日本ではなかなか良い資料のない「ソ連=ポーランド戦争」についても、要点をコンパクトに述べられているので、このテーマのゲームをプレイする際の参考記事としても最適です。

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もう一冊は、KKベストセラーズさんの『歴史人』4月号で、今回は満洲事変に関連する地図4点の制作を担当しました。同誌は毎号、ひとつのテーマを徹底的に解説する特集記事が売りですが、今号は日本の大陸進出から1945年の敗戦に至るまでの「満洲国」の歴史に光を当てています。

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1ページ全体で、満洲事変の経過を解説する地図。時系列の順番が分かりやすくなるよう工夫しました。「カラフルだけど落ち着いた配色」というのも、毎回注意を払っている部分です。

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こちらは、満洲事変の発端となった「柳条湖事件」とその直後の日本軍部隊の動きを解説する地図。事件翌年(昭和7年)に発行された、奉天の詳細な市街地図をベースに、街路の一本一本まで忠実にトレースしました。ここまで詳しい(そしてわかりやすい)柳条湖事件の関連地図は、過去に無かったのでは、と思います(単に私が知らないだけかもしれませんが)。


《追記》
3月30日(金)の「小規模ミーティング」は、あと一席となりました。私と全然面識のない人も参加されますので、興味のある方はぜひどうぞ。
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2012年3月10日 [ベアズ・クロウ(熊の爪)]

シックス・アングルズ第14号『ベアズ・クロウ』のプレオーダー分発送まで、いよいよあと10日となりました。商品説明のページに、デザイナーズ・ノートのPDFを公開しましたので、興味のある方はぜひご覧ください。

『ベアズ・クロウ』デザイナーズ・ノート(PDF)

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また、『ベアズ・クロウ』出版を記念して(というわけでもないのですが・笑)、3月30日(金)の夜に、大阪のなんば辺りで、シックス・アングルズ読者の方との交流を主眼とする「小規模ミーティング」(ようは呑み会)を催そうかと考えています。今回は6人程度の小規模な集まりで、お酒と料理を楽しみながら、製作裏話やら、ご意見・ご要望を拝聴したりやら、という気楽な集まりですが、もし参加をご希望の方がおられましたら、下記までメールにてご連絡ください。

2008@mas-yamazaki.com

プレオーダーは引き続き募集中です。

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シックス・アングルズ第14号
ベアズ・クロウ
3月20日プレオーダー発送予定
3月25日店頭発売予定

限定600部
小売価格 5460円(本体5200円)
プレオーダー価格 4935円(本体4700円)


シックス・アングルズ第14号の内容紹介ページ
※マップやユニット、チャート類の見本をご覧いただけます。
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2012年3月2日 [ベアズ・クロウ(熊の爪)]

昨日から3月が始まり、シックス・アングルズ第15号『ベアズ・クロウ』のプレオーダー発送まで、あと20日を切りました。先日よりホームページで公開していましたルールのPDFも、校正チェックが完了した最終版とデータを差し替えました。また、プレイの実例(1ページ)のPDFも追加で公開しました。

『ベアズ・クロウ』最終版ルール(PDF)
『ベアズ・クロウ』プレイの実例(PDF)

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プレオーダーは引き続き募集中ですので、興味のある方はぜひどうぞ。

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シックス・アングルズ第14号
ベアズ・クロウ
3月20日プレオーダー発送予定
3月25日店頭発売予定

限定600部
小売価格 5460円(本体5200円)
プレオーダー価格 4935円(本体4700円)


シックス・アングルズ第14号の内容紹介ページ
※マップやユニット、チャート類の見本をご覧いただけます。
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2012年2月29日 [その他(映画紹介)]

今回は久しぶりに、最近観た映画2本について書きます。

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1本目は、エリック・ゲレ監督『放射性廃棄物 〜終わらない悪夢〜』。福島事故から2年前の2009年にフランスで制作された作品で、原発の放射性廃棄物の行方と将来の保管に関する問題を正面から取り扱ったドキュメンタリーです(少し前にNHK-BSで放送されていたらしい)。

多くの日本人が理解している通り、原子力発電所は運転に伴って様々な放射性廃棄物を生み出します。その廃棄物は、数十万年という単位での安定した保管が必要な危険物でもありますが、今までそれがどのように扱われてきたか、事故により放射能汚染が発生した場所でどんなことが起こっているのか、そして将来そのような技術を人類が確立できる可能性はあるのか、といった問題を、フランスの科学調査機関クリラッド(CRIIRAD)の調査結果を交えながら、淡々とした取材で描き出しています。

この映画で非常に重要な役割を果たしているクリラッドとは「放射能に関する調査および情報提供の独立委員会(Commission de Recherche et d’Information Indépendantes sur la Radioactivité)」の略で、1986年4月のチェルノブイリ原発事故の際にフランスの公的機関が放射能汚染の情報を国民に正しく公表しなかったことから設立されたNGO/NPOです。

CRIIRADとは? (クリラッド自身が作成、サイトで公開している日本語の説明・PDF)

クリラッドの科学者は、旧ソ連(現在のロシア)奥地の小さな村にも調査に向かい、1957年に発生した「ウラルの核惨事」の後遺症にも光を当てています。「ウラルの核惨事」とは、ソ連の核兵器製造工場が操業していたウラル山脈のチェリャビンスクで、放射性物質を含む廃液タンクが水素爆発を起こし、大勢のソ連市民を死傷させた大事故ですが、現在もなお全容が解明されておらず、放射能汚染による人的被害についても定まった評価はいまだなされていないようです。

この事故を起こした「マヤーク核施設」は、テチャ川という小さな川の上流にありますが、その川の流域では土壌がセシウム137やストロンチウム90で汚染されており、国の保険機関が水や牛乳、住民の健康などを調査しているものの、その結果は住民には一切知らされていないと映画は述べています。「水素爆発」「セシウム137」「ストロンチウム90」などの固有名詞が何を意味するのか、今では我々日本人も一定の知識を持っていますが、ある村の住民は諦めたように映画の取材チームの質問に答えています。

「私たちはモルモットみたいだ。(調査のために)わざとここで生活させられているんだろう」

放射性廃棄物が生み出されるのは、原子力の平和利用と呼ばれる原子力発電所だけでなく、原子力の軍事利用、すなわち核爆弾の製造過程でも同じです。長崎に投下されたプルトニウム型原爆が製造された米ワシントン州ハンフォードでは、核兵器工場だった頃に生まれた廃棄物が地下に貯蔵されていますが、1980年代にそれらのタンクから廃液が地下に漏れ出していることが確認されました。しかし、もはやタンクの穴を塞ぐ術はなく、クリラッドの調査によれば、地下水や近隣を流れるコロンビア川がストロンチウム90などの放射性物質で汚染されているとのことです。

たった40年ほどで穴が空くようなタンクしか作れなかった1940年代と比較すれば、70年後の人類は放射性廃棄物の密封と安定的保管の技術において、少しは進歩しているはずです。しかし、西暦で元年から2012年の間に、世界でどれほどの歴史的変動が存在したかを考えれば、数千年、数万年、数十万年という単位で放射性廃棄物を完璧に保管する技術を我々が既に持っているかどうか、答えは明白だと思います。

この映画の最後で、フランス原子力・代替エネルギー庁長官のベルナール・ビゴ(Bernard Bigot)氏が登場し、「放射性廃棄物を長期間にわたって完全に封じ込め、貯蔵する技術を私たちは持っています」と断言します。そして「なぜそう確信できるのですか?」と問われると、次のように説明しました。

「放射性廃棄物を処分する時、忘れてはならない重要な言葉があります。それは『信頼』です。政治指導者、科学者、経営者の責任感、物理の法則、そうしたものをあなたが信頼しなければどうしようもありません。より責任を負っている人間、環境や人命に影響を与えうる決断を下す人間、そうした人々を信頼しなければ、何も始まらないのです。未来を描くためには『信頼』が必要です」

上は、映画の字幕を省略せずそのまま書き写したもので、本当に彼がこの通りに言っているのか、私はフランス語がわからないので確認できませんが、もしこれが正しい翻訳だとしたら、フランスでは「既に思考を停止した人」が原子力の安全管理を司る組織のトップに座っていることになります。翻って、日本ではどうでしょうか。


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もう1本は、福島第一原発事故から7年前の2004年に公開された日本映画『東京原発』。 山川元という人が監督の「フィクション」作品ですが、福島の事故を踏まえて観ると、劇中で語られる台詞や指摘があまりにもリアルに感じられます。

筋書きは、役所広司演ずる東京都知事が「東京に原発を誘致する」という政策を発案し、東京都庁幹部との間で激しい議論を繰り広げている間に、別のところである重大な事件が起きる、という一種の社会的サスペンス映画です。あまり予備知識が無い方がよいと思われるので、これから観る人のために、具体的な内容はこれ以上触れずにおきますが、非常に重要な問題提起をいくつも内包した、今だからこそ観ておくべき作品という風に感じました。

アマゾンのレビューを観ると、「ある重大な事件」の話は不要だったのでは、という意見もありますが、私はこれもテーマと密接に関連する主題だと思うので、入れて正解だったと思います。国内に原子力発電所を持つということは、見方を変えれば「(潜在敵国にとっての)運搬手段の要らない『貧者の核爆弾』を抱え込む」ことでもあります。核爆発はしなくても、冷却機能の喪失による水素爆発で放射性物質が広範囲に散布すれば、それだけでも「大量破壊兵器(WMD)が炸裂した」のと同じ効果があります。



元経済産業省の古賀茂明氏は、月曜日(2月27日)夕方の大阪朝日放送『キャスト』という番組の冒頭で、「福井の大飯原発を4月に再稼働することは、政府内では事実上の既定方針であり、それに間に合わせるために『原子力規制庁』の創設を急いでいる。細野豪志原発担当相が規則違反を承知で国会事故調(福島第一原発事故調査委員会、黒川清委員長)に接触したのもその一環だ」と指摘されていました。福島第一原発事故から、もうすぐ一年になりますが、日本政府は、われわれ日本人の思考は、この一年で何か変わったと言えるでしょうか。

昨年(2011年)3月28日の記事
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2012年2月17日 [ベアズ・クロウ(熊の爪)]

今週は、KKベストセラーズさんの雑誌『歴史人』次号の特集「満州帝国」に収録されるカラー地図4点の制作をメインに行いつつ、シックス・アングルズ第14号『ベアズ・クロウ』の仕上げ作業を進めています。前者の仕事は、満州全体をカバーする比較的大きな地図や、柳条湖事件(および張作霖爆殺事件)の舞台となった奉天の詳細な市街図などで、見栄えとわかりやすさ、歴史情報的価値の並立を今回も追求しています。発売は来月中旬の予定ですので、興味のある方はぜひ楽しみにしていてください。

シックス・アングルズの方は、最後に残った本誌の記事がもうすぐ完成し、あとは全体の校正チェックの作業となります(駒のデータは既に印刷所に入稿済みです)。今回は、今までとは違い、ヒストリカル・ノート的な戦史記事は収録せず、代わりに他社製品のゲームを紹介する記事を2本、掲載する予定です。ヒストリカル・ノートは、昨年出た『宿命の「バルバロッサ作戦」』や『歴史群像』第105号の記事「スモレンスク攻防戦」で同内容の原稿を書いてしまったから、というのが大きな理由ですが、他社ゲームの詳しい紹介も以前からずっとやりたいと思っていた企画なので、限られたページをどう使うかについて、今回は新たな試みに挑戦してみました。

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ゲーム記事2本のうちの一本は、以前の記事でも少しご紹介しました、MMP/GJの『激闘! グデーリアン装甲軍(A Victory Denied)』についての4ページの紹介記事で、もう一本はこちらも先日のブログ記事で触れました、GMT社の『ラビリンス(Labyrinth)』に関する10ページの紹介記事です。目次と奥付込みで64ページの本誌中、1つのゲームに10ページ、しかも完結せずに次号にも続く(笑)というのは、ちょっとした冒険かもしれませんが、イメージ的にはかつてホビージャパンが刊行していたシミュレーション・ゲーム雑誌『タクテクス』の初期の号(隔月刊時代の第1号〜第6号あたり)をイメージして、記事を制作しました。

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上の画像は『ラビリンス』記事の1ページ目ですが、このゲームは以前の記事でも書きました通り、ルール本文だけを読んだのでは、何をどうしたらいいのか初見のプレイヤーは理解できないのでは、と思われる部分があります。しかし、いろんな意味で「良くできたゲーム」なのに、それではもったいない、ということで、私なりにルールシステムの解説と、個々のルールが現実の何を表しているのかという説明、一般の日本人には馴染みが薄いと思われるイベントカードについての解説、そして付属の「チュートリアル(記事)」の通りにプレイした経過を私なりの追加説明で記述するという構成の記事に仕上げてみました。

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ゲーム雑誌の記事に何を求めるかは、読者によっても違うと思いますし、今回のアプローチが多くの読者に喜ばれるかどうかは出してみないとわからないのですが、とりあえず発売後に読後感やご提案など、フィードバックの情報を頂けると幸いです。それを参考に、今後の記事作りに反映させたいと思います。原稿執筆などの他の仕事でもそうですが、弾着観測とそれに基づく補正のような作業は、仕事の質を高める上で、とても重要な意味を持ちます。『ラビリンス』をお持ちの方はもちろん、そうでない読者の方も、ぜひご意見やご感想をお聞かせください。

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2012年2月12日 [ベアズ・クロウ(熊の爪)]

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おとといの土曜日、石田さんとシックス・アングルズ第14号『ベアズ・クロウ』「キエフ=ウマーニ」のリプレイ記事用対戦兼最終プレイテストを行いました。先の「スモレンスク」同様、今回も僅差のプレイとなり、ゲーム展開もほぼイメージ通りで、一カ所だけ勝利得点の数字を変更(キエフの10点というのは極端だと判明したため5点に)した以外は問題なくプレイできたので、これで完成と判断することにしました。

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ちなみに、今回は対戦中一度もルールブックを見ず、チャートも戦闘結果表と地形効果表だけ見ながら最後まで対戦しました。記録を取りながらのプレイなので時間がかかりましたが、どちらのゲームも慣れれば1日に2回対戦が可能です。史実の「状況」の再現度は、独ソ戦史研究者として満足できるレベルにあると考えていますし、独ソ戦の序盤というテーマを扱っていながら、ドイツ軍とソ連軍のどちらを持っても、最初から最後までエキサイティングなプレイを能動的に楽しめるゲームに仕上がったと思います。

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プレオーダーは引き続き募集中ですので、興味のある方はぜひどうぞ。

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シックス・アングルズ第14号
ベアズ・クロウ
3月20日プレオーダー発送予定
3月25日店頭発売予定

限定600部
小売価格 5460円(本体5200円)
プレオーダー価格 4935円(本体4700円)


シックス・アングルズ第14号の内容紹介ページ
※マップやユニット、チャート類の見本をご覧いただけます。
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2012年2月6日 [モスクワ攻防戦]

今日はシックス・アングルズ第11号『モスクワ攻防戦』の話題です。このゲームは、2008年8月に出版した作品ですが、発売後のゲーマーの反応を見ると、ゲームバランスに問題があり、ドイツ軍が有利な展開になることが多いようです。

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昨年12月、このゲームのプレイテスターの一人である山根さんから、ルールの修正を提案されたのをきっかけに、山根さんと2人で全体的な洗い直しの作業を年越しで行ってきましたが、ようやく最終的な改訂案がまとまりました。読者の方からご指摘のあった「グロスドイッチュラント」の部隊規模(前回の記事のコメント欄を参照)と、前々から気になっていたドイツ軍第1騎兵師団の撤退についても、修正してあります。

今回の変更箇所は、以下の8項目です。ダウンロード可能なA4版の「正誤表その2」と「訂正ユニット」のPDFと共に、ホームページの『モスクワ攻防戦』のページでも告知しています。1)から3)については、2009年2月に発表した「正誤表その1」を参照してください。

『モスクワ攻防戦』正誤表その2
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4)ユニットの訂正 
  ドイツ軍の「グロスドイッチュラント」自動車化歩兵ユニットは、旅団ではなく連隊規模です。訂正ユニットは、シックス・アングルズ第14号に収録されますが、下記でPDF画像をダウンロードできます。
モスクワ攻防戦 訂正ユニット

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5)騎兵師団の撤退 
  ドイツ軍第1騎兵師団は、本国で第24装甲師団へ改編されるために、1941年10月末に前線から引き抜かれました。これをゲームに反映させるため、次のルールを追加します。

10.3 騎兵師団の撤退
10.31 ドイツ軍プレイヤーは、第3ターンの終了時に、地図上から第1騎兵師団のユニットを取り除きます。補給切れ状態や敵ZOC内にいてもかまいません。こうして除去された第1騎兵師団のユニットは、全滅したとは見なされません。
  もし、既に第1騎兵師団のユニットが全滅しているなら、代わりのユニットを取り除く必要はありませんが、その場合は全滅ユニットとして、ソ連軍の勝利得点の対象となります(12.0項の5を参照)。

6)航空支援ポイントの変更 
  第4ターンにソ連軍プレイヤーが得られる航空支援ポイントの数は、ゼロではなく「1」です。

7)初期配置の変更 
  ソ連軍の初期配置ユニットの配置ヘクスを、以下のように変更してください。

  0611 の戦車を 0612 に
  0814 の戦車を 1015 に
  0714 の狙撃兵を 0813 に
  0715 の狙撃兵を 1017 に
  0905 の狙撃兵を 1108 に
  0908 の狙撃兵を 1111 に

8)部隊規模説明の追加 
  2.21項の説明文中、部隊規模記号の説明が1つ抜けていました。III = 連隊です。

9)工場から登場するソ連軍増援の補給状態
  8.62項に、以下の文章を追加します。「工場からソ連軍の地図端補給源までの後方補給線が設定できない状況であれば、登場(復帰)する狙撃兵ユニットは自動的に『補給切れ状態』となります。」

10)ドイツ軍の補給の追加制限 
  第12号掲載の冬季反攻シナリオ用ルール14.51項を、7.15項として、標準ルールに組み込みます。

7.15 補給切れとなっているドイツ軍ユニットのうち、同一の軍に所属する補給ユニットまで、8ヘクス以内の補給線を設定可能であれば、補給切れの状態が重なっても「孤立」状態にはならず、「補給切れ」の状態でいることができます。この場合、補給ユニットから自軍の地図端補給源までの後方連絡線は、遮断されていてもかまいません。

11)ソ連軍空挺ユニットの降下制限 
  第12号掲載の冬季反攻シナリオ用ルール14.33項で「地図に印刷された『開始線』より西側のヘクスには配置できません」という制限を「地図に印刷された『開始線』より西側のヘクスおよびそこから5ヘクス以内のヘクスには配置できません」に変更します。これ以外の制限は、そのまま適用されます。

これらの修正により、『モスクワ攻防戦』の問題点は全て解消できたのではないかと思います。新作の『ベアズ・クロウ』と共通するルールも多い(戦闘結果表は共通です)兄弟ゲームということもあり、お持ちの方はぜひ追加修正を適用したバージョンで、プレイしてみてください。
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2012年2月4日 [ベアズ・クロウ(熊の爪)]

今日は石田さんと、シックス・アングルズ第14号付録『ベアズ・クロウ』「スモレンスク」のリプレイ記事用対戦兼最終プレイテストを行いました。

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上は、第1ターンの最初のドイツ軍移動・戦闘フェイズ終了時の光景。リプレイ記事用の対戦ではいつも、ワンサイドな展開にならないよう祈りつつプレイを行うのですが、今回は幸いにも両軍とも拮抗した戦いとなり、最終的な勝利得点の差もわずかでした。

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最終的なルールの確認作業も完了し、これで「スモレンスク」は完成です。ゲームの仕上がりには、かなり満足しています。

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次回は「キエフ=ウマーニ」のリプレイ記事用対戦を近日中に行う予定。今回はリプレイ記事を2本掲載します。

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2012年1月28日 [ベアズ・クロウ(熊の爪)]

今週は、月曜日に『歴史群像』誌次号の担当記事「キューバ危機」の原稿を書き上げた後、シックス・アングルズ第14号『ベアズ・クロウ』の製作関連作業で一週間を過ごしました。ようやく「スモレンスク」と「キエフ=ウマーニ」の2ゲームについて、完成の目処が立ちましたので、プレオーダーの正式な募集を開始いたします。

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シックス・アングルズ第14号
ベアズ・クロウ
3月20日プレオーダー発送予定
3月25日店頭発売予定

限定600部
小売価格 5460円(本体5200円)
プレオーダー価格 4935円(本体4700円)


シックス・アングルズ第14号の内容紹介ページ
※マップやユニット、チャート類の見本をご覧いただけます。

「ベアズ・クロウ」最新版ルール(2012年1月28日版)

ルール内容については、横浜でこのゲームのプレイテストをしていただいている堀場さんからのフィードバックも参考にした上で、いくつか追加の変更を加えました。ランダムチットで決定していた、両軍混合のフェイズ手順を廃止し、「スモレンスク」と「キエフ=ウマーニ」で固定したこともその一つです。

ランダムチットによる手順の判定は、遭遇戦特有の緊張感を出したいという意図で導入したものですが、ターン数が短いこのゲームでは、ちょっとした偏りがゲーム全体に及ぼす影響が大きく、またチットの偏りに起因するバランスを調整するための追加の制約が必要になります。その結果、付加的制約のルールが次々と生まれましたが、それによってゲームシステムのシンプルさが失われ、手順判定に伴う「手間」の割には、それに見合う効果が得られないということで、思い切ってランダムチットの要素を排除することにしました。

実を言うと、私の方での最終段階における確認テストの一部は、「チットによるバランス変動を避ける」目的で、最終的に決めたのと同じ手順で固定して行っていたので、固定した場合のメリットとデメリットも既にある程度確認済みでした。

このゲームの主題(テーマ)は、周到な連携を欠いた「場当たり的」行動ではあるものの、直撃を食らえばドイツ軍も無傷では済まないという、バルバロッサ作戦初期におけるソ連赤軍の反撃戦力の(熊の爪にも似た)「凶暴さと脆さ」を、シンプルな形でゲーム化することにありました。「スモレンスク」も「キエフ=ウマーニ」も、当初の企画どおり、全てのターンにおいて独ソ両軍が「攻撃と防御」を行えるゲームに仕上がっており、この最優先課題をより明瞭に浮かび上がらせる意味でも、それ以外の要素には煩雑さが生じないような(つまり可能な限り簡潔な)処理にすべきかと考えました。

商品の価格については、以前の告知では「4500円で800部発行」とお知らせしていましたが、印刷コスト等の諸事情により、そこまで価格を下げることはできませんでした。なにとぞ、ご了承ください。

なお、以前にこの製品のプレオーダーをメールで下さった方が何人かおられましたが、その時にメール送受信に使っていたマシンが昨年夏に突然壊れてしまったため、データを読み取ることができなくなってしまいました。そのため、今回はいったん過去の記録をリセットさせていただき、今回は最初の桁が「5」で始まる3桁のご予約番号(例えば501など)を、プレオーダーメールの返信でお送りいたしますので、もし以前にプレオーダーのメールを下さった方で、まだ「5」で始まる3桁のご予約番号をお持ちでない方がおられましたら、お手数ですが再度、メールをいただければ幸いです。よろしくお願いいたします。

シックス・アングルズ公式ページ



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2012年1月16日 [隠(なばり)ゲームクラブ]

昨日は、石田さんと 《隠(なばり)ゲームクラブ》 2012年第1回目の例会でした。今回のお題は、GMTゲームズ社の『ラビリンス』。2001年の「9.11」事件に始まる、アメリカとイスラム過激派勢力による地球規模での戦いを再現する、カードドリブン・ゲームです。

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私も石田さんも、このゲームをプレイするのは初めてだったので、じゃあ一緒に練習しながら覚えましょう、ということで、事前のプレイはしないでいたのですが、いざ始めてみるとルールブックの書式が非常にわかりづらく、知りたい情報や疑問点が1つ出てくるたびにページを行ったり戻ったりした上、定義のやや曖昧な文章の行間から意味を読み取るという感じで、かなり時間を余分に費やしてしまいました。

これではゲームを始められない、ということで、ゲームに付属している「プレイブック」の冒頭に掲載されている「チュートリアル(プレイの手引き)」を読み、その通りに作業を進めてみたところ、ようやくシステムの根幹と細部の制限などを理解できました。いったん覚えると、各ターンの作業は非常にシンプルで、さくさくと快調なテンポで進むようになりましたが、チュートリアルの記事がないとゲームのルールを理解できない、従って「お試しプレイ」すら始められない、というのは、少々問題である気がしました(もちろん我々二人だけの問題、という可能性もありますが)。

ゲームの内容は、地球上のイスラム諸国で「イスラム原理主義(イスラム法にのみ基づく国家体制)」の国を増やそうとするイスラム過激派陣営(聖戦主義者=ジハーディスト)と、そうした動きを阻止して地球上からイスラム過激派を根絶することを目指すアメリカ合衆国陣営による、情け容赦ない攻防戦です。

アメリカ陣営は、対象国の政権転覆(体制変換=レジーム・チェンジ)を意図した軍事力の大規模展開や、サウジアラビアなどの同盟国に駐留する軍隊を用いた過激派の掃討作戦、各国に対する政治的働きかけ(イデオロギー戦争)などを行い、過激派の活動地域を狭めつつ、カードのイベントを駆使して過激派リーダー(セル)の暗殺や資金源への締め付けによって、過激派の行動そのものを縮小させる動きを重ねていきます。

対するイスラム過激派は、主に中東のアラブ諸国をはじめとするイスラム教圏に過激派リーダーを送り込んで、現地の同調者を増やし、各国の政治体制を動揺させて拠点を築いた上で、タイミングを見計らって「イスラム原理主義政権」の樹立を目指す暴動(大規模なジハード)を実行します。また、イスラム諸国の富裕層からの寄付を集めるため、継続的に「イスラムの敵」に対するテロ活動(プロット)を行い、資金稼ぎを行わなくてはなりません。過激派の同調者集めには、一定の資金が必要となり、資金がなくなれば、イベント以外では新たな同調者を集めることすらできなくなって、地球上での活動規模がどんどん縮小します。

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ゲームで使用するカードには、具体的な行動を行うのに必要な「作戦ポイント」と、イベントとして使用する内容が記されていますが、実在する組織や個人、兵器、事件などの名称と、それがプレイに及ぼす影響との関連が上手くルール化してあり、「イスラム過激派の活動と米国の対テロ戦争」に興味のある人なら、1枚ずつのカードを眺めるだけで時間が経つでしょう。これらのカードプレイによって、基本システムだけでは再現できない不確定要素や例外的な現実の出来事が、うまく再現できるようになっています。

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ゲームマップ上のヨーロッパ諸国。旅行された人ならご存知の通り、EU諸国(イギリスなど例外あり)と一部の周辺国は「シェンゲン協定」という、国境越えの行き来を開放する協定を結んでおり、人や物の移動はかなり自由です。そのため、イスラム過激派にとっては、密かに過激派指導者を送り込んで潜伏させ、フランスやスペインなどイスラム教徒の多い国で同調者を募ったり、ロシアやアメリカへ移動させたりする拠点としての価値が高い領域です。

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ゲームマップ上のイスラム諸国。ゲームにおける主戦場であり、政治体制が動揺しやすい国がほとんどです。その中で、異彩を放っているのがイラン。このゲームでは、対テロ戦争において強硬(ハード)か穏健(ソフト)か、国際社会で親米的(アライ)か中立的か反米的(アドバーザリー)か、という形で各国の態度を定義していますが、イランだけは「何を考えているのかよくわからない、非常にミステリアスな国」という扱いです。アメリカにとって味方でないのは確かですが、かといってイスラム過激派にとっても、他のイスラム諸国のように「ホームグラウンド」として活動できない国になっています。

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このほか、イスラム過激派の指導者を一方的に除去(暗殺)できる「プレデター(無人攻撃機)」のカードが3枚も用意されていたり、国際社会の動向とアメリカの姿勢が乖離していれば、アメリカが各国で行う政治工作が成功しにくくなったり、米軍の派兵規模が大きくなり過ぎると、逆に行動が阻害され(手札が減り)、また一度政権転覆のために大規模派兵を行った国からは、その国の政治体制が完全に「親米民主主義(Good)国家」として固まるまでは、容易に兵力を撤退させられないなど、現実に起こっている出来事をすぐに連想できるような要素が、巧みにゲームの展開へと織り込まれています。

シックス・アングルズの次号(第14号)において、このゲームに関する記事を10ページほど掲載する予定です。最初は、上に挙げたようなシステム分析と、一般的な日本人に馴染みが薄いようなカードの背景説明などをメインにする予定でしたが、ゲームを始めるまでの「取っ掛かりのハードル」が少々高いような気がするので、まずはゲームを買った人が苦労せずシステムを習熟して遊べるようになるための、ルールとシステムの手引き的な内容をたっぷり盛り込んだ記事を書こうと思います。もし一回の記事で、書こうと思っている内容が全て入り切らなければ、連載として第15号も続けることになります。

また、これは別に「ゲームの欠点」というわけではないのですが、『ラビリンス』というゲームは基本的に「欧米的価値観」に基づいてデザインされており、イスラム過激派がなぜイスラム諸国で一定の支持や共感を得ているのか、彼らはなぜ「自爆テロ」のような行動に走るのか、というような、イスラム過激派陣営側の「内在的論理」を表現する視点が弱い(または欠けている)と思われるので、それを多少補うような、私なりの追加選択ルールなども、記事の中で紹介したいと考えています。さらに、以前の記事で紹介した映画『シリアナ』についての、このゲームと関連づけたレビューコラムも入れたいなぁ、と思っているところです。

もし『ラビリンス』を購入したものの、何をやればいいのかよくわからない、という方がおられましたら、ぜひシックス・アングルズ第14号の発売まで、お待ちいただければ幸いです。

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《隠(なばり)ゲームクラブの活動実績》 
 ※ゲーム名をクリックすると該当記事を開けます。

2008年
第1回 6月27日 6A 「パウルス第6軍』 前編
第2回 8月23日 6A 「パウルス第6軍』 後編

2009年
第3回 2月21日 GDW 『ホワイト・デス
第4回 9月20日 VG 『地獄のハイウェイ
第5回 10月25日 The Gamers 『OCS コリア

2010年
第6回 6月26日 GMT 『バルバロッサ/アーミー・グループ・センター

2011年
第7回 4月9日 GJ 『激闘! グデーリアン装甲軍

2012年
第8回 1月15日 GMT 『ラビリンス
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